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『ビル・ブルーフォード自伝』 ビル・ブルーフォード著
brufordjiden.jpgタイトル:ビル・ブルーフォード自伝 イエスとキング・クリムゾンを叩いた男
著者:ビル・ブルーフォード
訳者:池田 聡子
初版発行年:2012
原書初版発行年:2009
出版社:日興企画
ジャンル:ノンフィクション、自伝

ビル・ブルーフォードさん、というのはおそらく初めて日本に紹介された人ではないか。
でも、もちろんあの人のことです。
私の馴染みは“ブラフォード”、最も一般的なのは“ブラッフォード”、割と最近の一時期だけ呼ばれた“ブルッフォード”、その人です。
ついに4番目の呼び方が現れました。
それも、ライブ引退後、なおかつ自伝における呼び方だから、これが最後の決定打でしょう。
とはいえ、これが改めて定着するかどうかは分かりません。

「もう引退したし、いいんじゃないの? ブラッフォードで」

なんて感じになりそうではある。

かなりのボリュームだが、一気に読んだ。
最初に苦言を書いておくと、とても分かりにくい。
分かりにくさの原因は主に8割が彼の書き方によるもの、2割が訳の問題といった感じだろうか。
原文に照らして読み進めたわけでもないので、あくまでも主観的な印象です。
分かりにくさに直接関係はないが、誤字脱字の頻度がかなり酷い。
私がかつて読んだ本の中で、間違い無く最多の間違いが有る。
『ほとんど』が『ほどんと』になっていたりというのは、東北弁的には決して間違いではないのだが、助詞の抜け、濁点の間違い、文字の間違い、挙げ句には巻末ディスコグラフィーでのアルバム発売年の間違い等、平均して数ページに1カ所程度は間違いがあるのではないか。
かなりのボリュームなので、初版の段階で全てを間違いなく仕上げるのは無理だろうが、それにしてもこのミスの多さは、プロの仕事としては無責任なレベル、職務怠慢と言われても仕方がない。
まあ、以前我が家の近くにあったスーパーの誤字脱字に比べれば屁でもないレベルではあるが。
ちなみにそのスーパーについてはこちら

訳自体も良いものとは言えないだろう。
元々の文章が極めて説明不足で話題があちこちへ飛びまくるような自分勝手なものである上、おそらく向こうの文化を知らなければ理解出来ないのであろう皮肉やジョークが散りばめられていて、これを日本人に分かりやすく訳すのは非常に困難だろうとは思うが、おそらく訳している側も文章の意味を理解しきらないままなんとなく日本語に置き換えているのではないか、と思われる部分が多々ある。
親切にやるならば、訳注による解説が大量に必要そうな文章だから、それを求めるのは費用対効果という意味では酷だろうとは思う。
つまりは、どうせたいして売れる本ではないだろうし、そこまで労力をかけるに値する内容ではないという判断も働いたかも知れないが、それでもやはりもう少しなんとかならんのか、という思いは抱かざるを得ない。
文章書きのプロが書いた本ではないし、真面目なビルさんのことなので、もちろんゴーストライターが書いたわけもないから、読みにくさはまあ仕方ない。

さて、内容について。
自伝と言っても、彼の生涯が時系列にそって記述されているわけではない。
本全体を通じて、とにかく引用されるエピソードの時期はてんでバラバラの無茶苦茶である。
ひとつのセンテンスの中に40年前から最近までの時期を違えたエピソードが3つ4つと続けて並べられていたりすることもある(と思う)。
気をつけていないと、いつのなんのことについて書いてあるのかすぐに分からなくなる。
そもそも主語があいまいなので、最初から何のことについて語っているのやらさっぱり分からないなんて部分はそこら中にある。
そのへんはやっぱり、比較的きっちりしてそうな彼であっても、アーティスティックで直感的、自由気ままなんだなあと感じるところだ。
私が興味を持つプログレ関連の記述は、せいぜい1/4ぐらいだろうか。
基本的には彼の経験に基づく、音楽論、音楽業界論のような記述が半分以上の印象。
演奏家でもなく、業界にも無関係で、なおかつジャズに疎い人間からすると、あまりピンとこない話が結構多い。
私のような人間が最も興味を惹かれるのは、当然ながらやはりプログレ関係のミュージシャンの人間性についてだ。
全部で19章もある各章のタイトルは、彼がよく受けるような質問の形をとっている。
その中身が必ずしもタイトルの質問に対する答えとして適当な内容になっているとは思えない章が非常に多いのだが、最も興味深い第8章、

“ロバート・フリップと仕事するのってどんな感じ?”

については概ねフリップ先生とクリムゾンについての記述で占められている。
やっぱり厄介な人なんだなあ。
これは次の9章に載っているエピソードだが、クリムゾンのステージで、ライトで照らされることを嫌ったフリップがほとんど暗闇の中で見えなかったことについて、客の一人が、ショウの3分の1を見られただけだ、と苦情の手紙をよこしたことに対するフリップの対応があまりにもすごくて楽しい。
そりゃこの人と平和的に付き合える人は皆無だろうと思う。
ネタバレになるので内容は書きませんがね。
他に興味深かったのは、クリス・スクワイアとアラン・ホールズワース、それから意外なところでトニー・レヴィンのキャラクター。
もちろん、イエスに関すること、ABWHについて、UK、ジェネシス、ゴング、バンドとしてのブルーフォード、等々についても触れられている。
ほとんどの人は分からないだろうが、伝説のパラマハンサ・ヨガナンダ師がジェイミー・ミューアやイエス(主にアンダーソンだろうが)に信奉されているとは知らなかった。
アルバム『海洋地形学の物語』がヨガナンダ師に関係してたとはねえ。


コメント
この記事へのコメント
 YES のコアファンならALBUM「TALES~=海洋地形学の物語」
 ヨガナンダ氏の書物をJON ANDERSONが参考にして作品を作ったと・・・いうのはある程度は知られていることです。
 JAMIE MUIRもヨガナンダ氏を信奉していたとは知りませんでした。

 ところでこの本は、私は読んでないから何とも言えませんが、訳者が知るべきジャンル(ブラッフォード及びその周辺の音楽)に詳しくなかった・・・パターンではないでしょうか?

 プロレス関連の書物でも、その類があって原文が分かりにくいか訳者が拙いのか?(両方もありでしょうね)

 ところでBILLの名前の件、今さらですね。
ALAN WHITEと改名しては、いないようです(笑!)

 鬼山さんの記述を参考にして、この本購入するのをやめました。
2012/10/23 (火) 01:47:06 | URL | iwgp #-[ 編集]
Re: タイトルなし
ヨガナンダの名前は見ていたのかも知れないですが、その時にはこの方を知らなかったので、記憶になかったのかも知れません。
数年前にたまたま音楽とは関係ないルートから知って本を読んでいたので、その接点を改めて知ってちょっと興奮した所でした。
面白いんですよ、『海洋地形学の物語』の元になったというヨガナンダ師の『あるヨギの自叙伝』。
信じられない人には荒唐無稽にしか思えないでしょうけど。
夢見る人にはまさに夢のような話です。
インドってスゲーと思っちゃいます。
講話集も買いましたが、あちらはとにかく瞑想しろ瞑想しろ、いつも神についてだけ考えろ、みたいな繰り返しだったので、売っちゃいました。
ヨガナンダ師はグルジェフよりはとっても読みやすいですね。

これ見て買わないという人が増えると、出版社に恨まれちゃいますね。
訳者の人もがっかりするだろうな、このレビューじゃ。
でもまあ、イライラするほどの読みにくさではないですよ。
楽しいエピソードを豊富に期待していたら、ちょっと物足りないでしょうね。
2012/10/23 (火) 03:08:46 | URL | 鬼山拳 #-[ 編集]
いいっす!
2012/11/20 (火) 06:39:48 | URL | 矢部善城寺 #mQop/nM.[ 編集]
Re: タイトルなし
いいっすか。
なにがいいのかわかりかねますが、なにかしらを評価していただいたと思いますので、お礼を述べさせていただきます。
ありがとうございます。
2012/11/20 (火) 12:04:42 | URL | 鬼山拳 #-[ 編集]
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